芭蕉最後の旅、暗峠 現代に息づく江戸の風景(産経新聞)

 霧雨煙る暗峠(くらがりとうげ)。一瞬、江戸時代に紛れ込んだような、幻想的な風景に出合った。

 春日大社の参道から延びる三条通を起点に生駒山を越え、奈良と大阪を結ぶ最短の道が暗越(くらがりごえ)奈良街道。奈良時代から利用されてきた古道で、暗峠(標高455メートル)はその最大の難所だ。名前の由来は想像がつくけれど、「鞍(くら)がえ」や「椋(くら)ケ嶺」がなまったものともいわれている。

 現在は国道308号…とはいえ、狭く急な坂道ゆえに「酷道」と呼ぶ人も。峠に残る石畳には風情が漂い、にぎわう往時をしのばせた。かの鑑真も平城京に入るとき通ったそうだが、この峠を越えた有名人といえば、やはり松尾芭蕉だ。

 菊の香にくらがり登る節句かな

 秋の句で恐縮だが、最後の旅となった元禄7(1694)年9月、芭蕉は重陽(ちょうよう)の節句(菊の節句)に合わせて奈良を訪れた。門人を訪ねて大阪へ向かう道中、暗峠を越えている。体調を崩して山道はきつかったはずだが、風雅の心が勝ったのだろう。この旅で代表句の1つ「菊の香やならには古き仏達」も詠んだ。古(いにしえ)の都は芭蕉の旅心を誘ってやまない場所だったようだ。そのあと大阪で病床につき、1カ月後、帰らぬ人となる。

 俳聖の旅から300年。鉄道や有料道路の敷設でひっそりと静まる峠には、霧に緑がにおい立ち、夏の訪れを告げていた。(文 山上直子)

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